行政書士試験を独学で合格することは厳しい?
はい、厳しいです。
ですが、無理だとは言っていません。
独学で合格は可能です。
独学で行政書士試験合格を目指すのは無理ではないが厳しい理由をお話しします。
厳しい現実とか知りたくないピヨ。
理由がわかれば何かメリットがあるピヨ?
知っているだけで差がつくことは世の中たくさんあります。
知っていれば合格できるとまでは言えませんが、少なくともいくつか対策が可能になります。
✅そもそも、多くの人が受験までたどり着けない。長距離走型の資格。
✅本試験では、ノウハウを叩き込まれたガチ勢やチート組ひしめく中上位10%程度に入る必要がある
↓↓↓
✅学習初期は効率より継続を優先すべき。
✅効率では勝てない、故に量で勝負。
順番に解説していきます。
解説に入る前に、いつもの自己紹介から
- 大学は経済学部出身で法律は行政書士試験で初めて。
- 2017年:行政書士試験に独学で合格。
➡合格通知と得点表 - 2018年:ライティング、マーケティング、コピー力など各種スキルアップのため当ブログを開始。
➡試行錯誤の末、行政書士試験関連以外の記事を全削除し現在へ至る。ブログタイトル「岡島家の四方山話」今はまったく「四方山(雑多な、色々な)」をしていないのは開設当初の名残。
行政書士は独学では厳しい理由
独学に限らず、合格を目指すうえで絶対に超えなければならない壁が2つあります。
- 勉強を継続して本試験を受験する。
- 本試験で合格点をとる。
何を当たり前のことを言っているんだ!?と思うかもしれません。
ですが、掘り下げてみると納得の理由が見えてきます。
繰り返しますが、理由が分かれば対策はできるのです。
行政書士は長距離走型の資格。そもそも、多くの人が受験までたどり着けない
一般人である私たちにとって、行政書士試験は短期間(2~3ヶ月)でどうにかできるような内容ではありません。
ある程度(半年~1年)の期間勉強を積み重ねる必要があります。
しかし、長期間勉強を継続できる人はごくわずかです。
多くの人は、受験までたどり着けません。
社会人で仕事以外で勉強をしている人は極々少数
社会人で仕事以外で勉強をしている人はごくわずかであり、平均時間も微々たるものです。
1日平均6分!!
詳しく知りたい方は、総務省統計局:平成28年社会生活基本調査
(補足)令和3年度版が集計中のようです。
この資格の勉強時間は独学であれば800~1200時間程度必要。
仮に期間を半年~1年かけたとしても、ざっくり
- 月あたり100時間程度
- 日あたり3時間程度
平均の30倍も勉強しなければいけません。
普段運動しない人が、いきなりフルマラソンを走りだすようなものです。
完走できると思いますか?
3ヶ月以内に8割、1年以内に9割挫折する
別の視点で見てみましょう。
3ヶ月以内に8割、1年以内に9割が挫折する。
あくまで一般論で、資格試験に限った話ではありません。
ですが、言語学習やプログラミング、楽器演奏など様々な分野で似たような傾向にあるそうです。
また、聞いたことある方も多いと思いますが、
やりたい人、10,000人
始める人、100人
続ける人、1人
という有名な言葉もあります。
何かを始めて、続けていくことは簡単なことではない。
資格勉強においても同様の挫折率であったとしても不思議はありません。
ではなぜ、「独学では」厳しいと言えるのか?
ちょっと待ってほしいピヨ。
確かに勉強を長期間続けるのが難しいことはなんとなくわかるにしても、一般論ピヨよ。
なぜ、独学だけが厳しいと言っているピヨ??
こう例えれば違いが分かりやすいと思います。
ダイエットや筋トレってとても大切だと多くの人が認識していますよね?
私も経験ありますが、「できたらいいよね」と思いつつも、気が付いたら辞めている。
では、医者から痩せないと命の保証はできません・・・・・。
的な宣告を受けたらどうでしょう?
必死になって結果を出しますよね?
この違いは、リスクを背負っているか否かです。
多くの人は費用を使いたくないから独学です。
リスクを背負いたくない、合格しても投資した費用に見合う価値がないと判断している。
「ダイエットできたらいいよね。」という人が大多数なのです。
それが悪いとは言いません。
ただ、必死な人、リスクを承知で投資をする人と同じリターンを得られる可能性は低いというだけの話です。
講座の受講生は、いうなればトレーニングジムに通う、栄養指導を受けるなど、
効率を買うだけでなく、自らを縛るリスクをあえて購入しています。
私の知る限り、講座受講生の受験率は、
講座によりますが、30%~60%
価格に比例しています。
逆に考えれば、決して安くないコストを支払っても、かなりの数の人が受験までたどり着いていません。
それだけ、長期間勉強を継続するということは、それ自体が難しいことであると言えます。
本試験でガチ勢やチート組ひしめく中上位10%に入れば合格
ご存じの方も多いと思いますが、行政書士試験の合格率は大体10%です。
すべての受験生が似たような実力、合格を狙える実力を持っているわけではありません。
- ゴリゴリの専門教育でみっちり仕込んできたガチ勢、
- 法学に人生をささげ行政書士試験は滑り止めや保険の人たち、
- そもそも勉強が得意な人もいるでしょう
- 努力を努力と感じない秀才たち
など、
猛者達がひしめく中で10%に入らなければなりません。
一般合格率を下回っている講座はほぼないと思ってよい。
全体の合格率は10%程度です。
ですが、独学での合格率も同じというわけではありません。
Aグループは100人中30人が突破。
Bグループも100人中30人が突破。
したとします。
となれば、
残り800人が40人の枠を取り合います。
残り800人の突破率は5%
全体(1000人)で見れば4%
みたいなイメージです。
実際、講座の合格率はかなり高いです。
費用かけて成果が独学と変わらないのであればだれも利用しようとは思いませんよね。
(それでも)一般の合格率を下回ることは≪まず≫ありません。
例えば、令和3年度結果
- アガルート 合格率(アンケート集計)
初学者 37.9%
複数回受験者46.15% - フォーサイト 合格率 38%(アンケート集計)
- LEC 53.8% (コース内に含まれる模試3回全てを受験した方のうち、いずれか1回でも模試の得点が180点以上を超えた方を指します。)
LECはかなり特殊な計測なので信頼性に欠けますが、LECの難しい模試で結果を出してくる実力者が一般の合格率を下回る結果になると考えるのは不自然です。
同様に、予備試験、司法書士受験生、法科大学院出身者が一般合格率と同じだと考えるのも不自然です。
もちろん、予備校を利用者も、他資格受験生も、ロー出身者であっても落ちている人はいます。
ただ、予備校出身者や法学ガチ勢が合格者の占有率を高めている以上、独学者が一般合格率で競えると考えるのは無理があります。
合格者の半数以上は彼らが占めていると考えても、さほど不思議ではありません。
どれだけ甘く見積もっても全体で見れば4%未満、無難に3%程度だと思って対策を講じる必要があります。
独学と予備校ではなぜこれほどの差がつくのか?
ではなぜ、講座利用者と独学ではこれほどの差がつくのでしょうか?
いくつか考えられますが、シンプルに投入した効率が違うからです。
先程、行政書士試験は長距離走のようなものだと言いました。
講座利用者は、自転車や原付を使ってこの距離を走ります。
一方で独学は長距離を自らの足で走る選択です。
厳しくて当然です。
ですが、コツコツ諦めずに走り続ければ今年は無理でも、いつかゴールにたどり着くことはできます。
これが、行政書士は受かるか、あきらめるかのどちらかしかないと言われる所以です。
上位のマラソン選手は時速20㎞でフルマラソンを走ると言われています。
いわゆるママチャリの平均速度が時速15㎞程度。
独学者の中には、稀にマラソン選手のような方もいます。
そりゃ、時速20㎞で2時間ちょい走ればゴールできるでしょうが、私には時速20㎞だと500mも走れる自信はありません。
であれば、徒歩の平均時速5㎞で8時間かけて歩くのが独学の戦い方。
時間に制約が付くのであれば、自転車や原チャを購入するしかありません。
効率で独学が講座の受講生に勝つことは、不可能ではありませんが、まず無理です。
合格者が講座を受講するというあほな行動に出た結果、あまりの違いに驚きました。
そりゃ受かるよなというのが感想です。
独学経験者だからわかる違いがありました。
効率が違うのに時間は同じが最大の原因
行政書士試験に合格するためには、800時間~1.000時間が必要であると言いました。
問題は、講座受講生も同じ時間勉強してくるのです。
受講生のほうがモチベーションが高い分、勉強量が多いまであります。
効率で有料の講座に勝つことは難しく、そのうえ時間が同じであればおのずから結果は見えています。
いやいや、行政書士は180点以上全員合格の絶対評価の試験ピヨ。
確かに、制度的には絶対評価の試験です。
ですが、実際は上位10%しか合格できないように調整してきます。
問題自体の難しさもさることながら、
一問の中でも過去問既出の肢の数を調整するなど、
あの手この手で、10%しか合格点を取れないように仕組んできます。
さらに、全体的な出来が良く合格率が高くなりそうであれば、記述の採点を厳しく絞ってきます。
逆に、全体的な出来が悪く、合格率が低くなりすぎるときは、記述を激アマ採点で調整してきます。
独学で合格が厳しいのは、勉強時間が講座受講生と変わらないことも一因です。
厳しいなりの対策はあるのか?
行政書士試験が独学では厳しい理由をお話ししてきました。
理由がわかれば対策はたてられます。
対策3選
✅学習初期は効率より継続を優先すべき。
✅効率では勝てない、故に量で勝負。
✅手持ちの武器を最大限活用せよ。
学習初期は効率より継続を追求せよ
勉強習慣をつけましょうという話です。
長期戦である以上、モチベーションだけで乗り切ることは困難です。
学習初期はやる気もあり、爆進するのは悪いことではありませんが、息切れします。
息切れした後、一歩踏み出せるかどうかが重要です。
勉強が辛い時期は来るものだと構えておく
長期戦であれば、ほぼ誰にでも勉強が辛くなる時、いやになるとき、辞めたくなる時期が来ます。
それも、一度や二度では済みません。
何度も来ます。
いや、きました。
「これは誰にでもある。必ず超えるべき壁なのだ」と知っているかどうかで差が付きます。
あなたの能力の問題ではないのです。
極々一部の秀才を除いて、誰にでも平等に悪魔はささやくのです。
あえて言います。
誰にでも起こることです。
そういうものだと知っているだけで、次の一歩が踏み出せます。
決して、あなたの意志が弱いわけはありません。
ツイ民が優秀ではなく、優秀な人が自己管理のためにTwitterをうまく利用している
例年、本試験終了後、合格発表後Twitterをのぞいてみると、合格報告がたくさんでてきます。
合格率20%くらいあるのではないか?と錯覚しそうになります。
Twitter利用者が優秀なのではなく、自己管理のためにうまくツールを利用できる賢い人が多く利用している印象です。
勉強垢といって、勉強実績や目標の宣言、質問、自己の復習用に専用のアカウントを作成し利用しています。
専用のアカウントなので余計な趣味などの情報は遮断しつつ、同様の目標を掲げる者同士で励ましたり、刺激しあいながら小さな成功体験を積み重ねていき、勉強を習慣化していくそうです。
Twitterを使えというわけではなく、長期戦を走りぬくための工夫の一つとして紹介しました。
類似の学習法は記録をとる、色を塗るなど様々あります。
共通しているのは継続力を重視している点です。
大切なことはまずは勉強を継続するための工夫。
その先に、どのテキストを使か、どの問題集を使か、など具体的なノウハウが続くのです。
効率で勝てないのなら、量で勝負。遠回りは悪ではない
講座を使ってみて驚いたことは、講義を聞けばすぐに問題を解くことがある程度可能です。
理解できるから可能なわけです。
ですが、テキストを見ただけで問題を解ける人はそう多くはいません。
行政書士試験用の市販テキストは問題を解けるための情報はありますが、0から理解できるまでの説明を入れれるほど容量がないのです。
説明が多いテキストも過去にはありましたが、分厚いうえに、価格も高くなり出版されなくなってきました。
ただでさえ広い試験範囲に詳細に解説を入れていたら辞書みたいなサイズに・・・・・。
ではどうすればよいのか?
取れる選択肢が3つあります。
- わからない勉強はつらいし、続けるのも難しいのでプロに頼む
- 読書百遍意自ずから通ず。
- テキストをわかるための予習をする。
選択肢1:わからない勉強はつらい、プロに頼む
1に解説は不要ですよね。
どこが良いのかわからないという人は、こちらの記事をご覧ください。
デメリットはお金がかかる。
選択肢2:読書百遍、100回読めば意味が分かる!?
2、昨年は大人気でしたが、今年はあまり聞かなくなりました。
とはいえ、安価でやることがシンプルなため安定の人気です。
「読書百遍意自ずから通ず。」が正しいのか研究されている論文がありましたので、興味のある方はどうぞ、こちらから
結論、正しい。
反面、本試験までに、意通じるところまでいけない場合対応不能。
個人的にも一定の効果はあると感じます、ただ辛いだろうなとも思います。
私はこのタイプの修行のような勉強は苦手です。
得意な人には最適かもしれません。
選択肢3:テキストを読むための予習をする。
わからないなら、わかるレベルまで下げて基礎の基から始めましょうという、遠回りな方法。
私が受験時代に取っていた方法でもあります。
行政書士用のテキストを読むために、参考書として、一般向けの入門書を利用するという手法。
一見遠回り、ただある程度わかってしまえば比較的順調に進む。
理解重視の方向けの手法。
反面、分量が多くなりなかなか進まない。
一通り終えたころには冒頭が忘却の彼方。
反復が進みにくく、定着しずらい側面を持つ。
どれが良いのかは一概には言えません。
私は、修行のような勉強は苦手です。
理解派です。
でも、あなたにとって最適解とは限りません。
いずれを選んでも、量で勝負するのが独学の戦い方
注意すべきは、勉強量が多いことと勉強範囲を広げることは全く違います。
過去問の理解の精度を上げるために、徹底反復か、理解のために回り道をするのかの違いです。
どちらを選んでも、過去問で問われたことは落とさない精度にまで高める必要があります。
まとめ
行政書士試験を独学で合格することは可能。
だが厳しい。
理由:①
- 多くの人は本試験までたどりつけない。
- 長期間勉強を継続すること自体が難しい。
- 申込者と受験者数には例年およそ25%の開きがある。申し込んでも受けに来ない。
- それ以前に、申し込み前に撤退する人のほうが多いまである。
②
- 合格できるのはすべての受験生の中から10人に1人程度。
- 予備校の合格率は高く、予備校組・上位資格組がかなりの数占有していると考えるのが自然。
- 実際、高効率な学習で独学者と同じかそれ以上の量こなしてくるのが予備校ガチ勢。
- そのため、実質的な独学の合格率は3%程度だと考える必要がある。
対策:①
- 何をおいても、本試験まで勉強を継続できなければ勝負にならない。
- そのため、効率の追求の前に継続力を追求すべし、効率はその先。
- 勉強が辛く感じることは誰にでも起こりえること、あなたの意志が弱いわけでも、能力が劣っているわけでもない。
- 辛いと感じたとき、次の一歩が踏み出せるか否か、小さな一歩が大きな差となる。
- 有料の講座は学習効率だけでなく、自らを拘束する強制力にもなる。
対策:②
- 学習効率、質で講座受講生に勝つことはあきらめる。
- 質で勝てないのであれば、量で勝負するのが独学の戦い方。
- 講座と独学内容的な違いは理解の速度、対策はあるが一長一短、自分に合ったものを
学習量で勝負しなければならないが、多すぎるとスタミナ切れでモチベーション激減。
結果、継続性が損なわれる。
このバランスのとり方が独学の難しい点であり、厳しい点。
不合格は敗北ではありません。
何度でも挑戦することができるのですから。
撤退すれば勝利は絶対にありえません。
勝利が絶対にない状態のことを敗北というのかもしれません。
この試験は長距離走です。
短期間でどうにかできるのはアスリート並みに訓練を積み重ねてきた人たちです。
トップアスリートと同じ速度で走ることはできなくても、時間をかけて一歩ずつ歩を進めてゆけばゴールは見えてきます。
それはもしかしたら、今年ではないかもしれません。
2回や3回の受験など珍しいわけではありません。