行政書士の資格に興味がありまして、挑戦してみたいと思っているのですが、どのくらい難しいものなのですか?
多くの人が気になる点だと思います。
ですが残念ながら、高校や大学受験の偏差値的のように誰にでもわかりやすい客観的指標は存在しないのです。
そのため、正確に難易度を示すことはできません。
じゃあ、どのくらいの難易度なのかわからないピヨ?
具体的なイメージを持ってもらうことは可能だよ。
- 難易度の横割り比較で説明。
- 難易度の縦割り比較で説明。
- 行政書士試験の難易度の結論。一言でいうとこうなる。
3つのステップで行政書士の難易度を探っていきましょう。
この記事では行政書士の難易度について、非常にたくさん話していくわけですが、最終この一言に集約されます。
- フルタイムで働いている社会人でも
- 法律をこれまでに全く勉強したことがない人でも
- 独学であっても
- 一年必死で勉強すれば、合格が狙えるレベル。
簡単ではないが、難しすぎるわけでもない絶妙な難易度の資格。
ずいぶんアバウトな結論ピヨ。
そうだね、今から横割りと縦割りで解説をしていくので最後まで読むとこの結論はある程度納得できると思うよ。
期待しています。ところで、横割り・縦割りってなんですか?
- 難易度の横割りとは・・・・合格率や勉強時間などで考えていく手法
- 難易度の縦割りとは・・・・他資格との比較で考えていく手法
行政書士の難易度を横割りで考えていこう
- 行政書士試験の合格率
- 行政書士の難易度は下がっているのか?
- 合格に必要な勉強時間
どのテーマも、岡島はん語りだすと止まらんからな。読者さんが疲れない範囲で頼むピヨ。
・・・・・はい、気を付けます。
行政書士の合格率で難易度を推し量るのなら深堀しなければわからない
行政書士試験の合格率ですが、細かい数字はセンターのHP見てください。
ここではざっくり10%程度だと思ってもらえれば十分です。
年度により振れ幅はありますが、おおむね10%です。
振れ幅があるのは、宅建や司法書士と異なり絶対評価の試験であるため、問題の作りによって取りやすい年と取りにくい年が出てきます。
合格率10%は高いのか?低いのか?
この10%という合格率をどうとらえるかで、難易度に対する印象は変わります。
100人受けて10人しか受からないわけだから、難しいと思うのが普通ピヨ
ところが、行政書士の合格率が低いのにはちょっとしたからくりがあるのです。
をご覧ください。
合格率=難易度ではない
資格試験において合格率は確かに難易度の参考にはなりますが、あくまで参考にしかなりません。
実際、医師の国家試験や司法試験の合格率は10%よりもかなり高いです。
合格率が高いから、医師も弁護士も簡単だなんて、思う人はいないわけです。
合格者の属性にも注目すべき点が多い
合格率は概ね10%、合格者数は年間約5000人の行政書士試験ですが、合格者の属性に注目すると別の視点が見えてきます。
- 司法試験・司法書士試験など上位資格の経験者・合格者
- 法科大学院、ロースクールの卒業生・在校生
- 予備校や通信教育などコストを支払ってがっつり勉強してきた人。
- 法学部卒・在学中または宅建なで法律をすでに勉強したことがある人
- 初学者かつ独学者
同じ問題で受験するわけですから、合格する確率が高い順番の属性がどれかはわかりますよね?
受験者の属性で難易度はめっちゃ変わる
法学部卒や宅建合格者は多少有利ですがそこまで大きなアドバンテージではありません。
逆に上位資格経験者やロー生は今までに何年も法学を勉強してきた人たちです。圧倒的有利なのは当たり前ですね。それでも全員合格しているわけではありません。
つまり、受験生の属性によって難易度は大きく変わってきます。
さらに、当然ですが個人の理解力や読解力でも変わってきます。
合格者の中には法学経験者、予備校などでコストをかけて勉強してきた人が多数含まれています。
それらの人を含んだ数字が10%程度であるということを忘れないでください。
合格率が上がっているから難易度が下がっている?
もう一つ合格率に関する難易度で言われていることがあります。
ここ5年ほど行政書士の合格率は10%超えており、特に平成29年においては15%を超えたわけです。
そのため、行政書士の難易度は下がっているとの意見があります。
もっともな話に聞こえるピヨ。
問題が易しくなっているわけではないのよ。
行政書士試験の難易度が下がっているのではない。
合格率が上昇しているからと言って、易しくなっているわけではありません。
実際に過去問をやってもらえば体感できると思います。
平成26年と令和元年は法令科目がかなり難しく、平成26年は補正措置発動、令和元年は記述の激甘採点が大きな話題になりました。
合格率が15.7%と言う異常に高い年となった平成29年でさえも問題のレベル自体は例年と大きく差がないと感じています。
受験当時は平成18年以降すべての過去問をやりました。
個人的な感想ですが問題の難易度が下がっている印象は受けません。むしろ少しずつ難化している印象の方が強いです。
情報が多く出ることで受験生のレベルが上がっている。
行政書士試験に対するブログや動画のコンテンツがここ5年ほどで爆発的に増えています。
受験に必要な情報が爆発的に増えたため、対策が可能になり全体的に受験生のレベルが高くなっています。
また、受験生が減少傾向であり、予備校や通信各社は激しい生徒獲得競争を強いられており、講義やテキストの進化がハイスピードで進んでいることも受験生のレベルを押し上げる一因と言えます。
今後も受験生のレベルは上がることが容易に予想できます。
そのため、行政書士試験の問題自体の難易度は今後も比例して上昇していくことは明白です。
受験生のレベルの上昇に問題が追い付いてなかったのが平成27や平成29年。
逆に、受験生のレベルアップに慌てて難易度を上げすぎてしまったのが平成26年と令和元年。
問題からも受験生のレベルの上昇に戸惑っているという印象を受けませんか?
勉強時間から難易度を推察
初学者が独学で合格を目指すには少なくとも800~1000時間の勉強時間は必要です。
400時間で合格できたとか、100時間で合格とかいう情報も見かけたと思います。
短時間・短期間で合格できるという情報はかなり魅力的です。
そして、再現できる人も世の中にはいます。
そういうすごい人の話がもてはやされますが、その裏で
不合格になった人たちが何千、何万人もいるのもまた事実なのです。
多くは、圧倒的に学習量が足りていないことが原因です。
ここまでの話はこちらの記事でもう少し詳しく書いています。
行政書士の難易度を縦割りで考えてみよう。
続いて、縦割りで難易度を考えてみましょう。
事細かに分析する意味はあまりありませんので、ざっくりと考えていきましょう。
- 法律系他資格との比較
- 公務員試験との比較
- 大学受験との比較
大体のイメージをつかむための比較です。
法律系資格との比較
難易度が高いといわれている順に
- 司法
- 司法書士
- 社労士
- 行政書士
- 宅建士
司法試験・司法書士が超難関といわれます。
社労士・行政書士が難関と言われています。
めっちゃ頑張れば合格可能なものが難関、
めっちゃ頑張っても合格できるかわからないものが超難関という認識でよいです。
宅建士・司法書士との比較
宅建士と行政書士どちらが難しいですか?
との疑問を持つ方が多いようですね。
宅建士と行政書士の合格率が似てきたことからこの疑問を持つ人が増えてきたようです。
合格率と難易度はイコールではありません。
宅建より合格率の高い司法試験の方が簡単だなんて誰も思わないですよね。
宅建取得後、行政書士を狙う人も多く、予備校等でも勧められています。
ですが、
宅建士は過去問やって合格した、同じやり方で行政書士受けたら全く歯が立たなかった。
こういう方実際にかなり大勢いらっしゃいます。
逆に、行政書士に合格した勢いで司法書士受験したら全く歯が立たなかった。
こちらも、よく聞きます。
どの程度かというと、実際に過去問に触れてある程度雰囲気はつかめました。
宅建士の過去問から民法部分を解いてみました。
宅建士も難化しているとの噂で前年度(H30)の宅建士の過去問を実際にやってみました。
民法部分だけです。
ちなみに、行政書士合格後民法の勉強は全くしてません。
結果、
特に苦戦することなく、忘れてしまって迷った肢が一つあった程度でした。
司法書士の過去問にも挑戦
司法書士試験の過去問にも挑戦してみました。
感想を端的にまとめると、
司法書士試験で問われるのは正確で緻密な知識レベルであり、行政書士合格者であれば、取れる問題が全くないかと言われたら「ある程度なら正解できる」という感想でした。
ですが、
司法書士試験は試験制度が鬼畜なため、実際に合格するための難易度は行政書士とは比較にならない難しさがある。
詳しくはこちらの記事で
社労士との比較
どちらが難しいのか議論されていたようです。
どちらが難しいかに特に意味はありません。
議論が出ること自体似たり寄ったりの難易度であるという証でもあります。
- 社労士の有資格者、開業者が行政書士に受からない。
- 行政書士の有資格者、開業者が社労士に受からない。
もちろん、どちらもサクッと合格する人もいるわけですが、こういう話が割と目立ちます。
似たような難易度だと思うのが論理的ですね。
ただ、問われていることが全然違います。
共通なのは法律だという漠然としたカテゴリーだけです。
そもそも、比較のしようがないし、そこを厳密に突き詰める意味もないですよね。
公務員試験との比較
科目多くかぶるので行政書士の試験対策として公務員試験用の問題を解く人も多いようです。
行政書士は法律分野に限って言えば国家一般、地方上級以上と言われているピヨ。
実際どうなのかわからないけどね。
ただ、受験時代わかりにくい論点を調べていますと、公務員用の公開講座に出会うことがあり、参考にさせてもらいました。
行政書士よりざっくりと解説している印象だピヨ
「判例の理由までは問われないから、このまま暗記しちゃってください」というフレーズをよく聞きました。
反面、行政書士は判例の理由付けまで問われることも多いです。
公務員試験は合格後は安定感抜群ですが行政書士は起業です。リスクもあるので、コスパで言えば圧倒的に公務員なのでしょうが年齢やらの制限は当然ありますよね。
大学入試との比較
これ比較する意味はないのですが、結構疑問に思う人がいるようですね。
ざっくりと行きましょう。
- そもそも、大学受験レベルの読解力と論理的思考力がないと、まともに勉強することが厳しい。
- 法科大学院出身者でも落ちる人がいる試験です。その手前の大学入試より簡単だって話になるわけがない。
- 反面、有名大学に入るつもりで一年間がっつり勉強したら行政書士試験は十分受かります。
法学部出身だったら余裕で行政書士受かるかと言われたらそうでもない、むしろ落ちる人の方が多いのです。
行政書士の偏差値は?
偏差値とか指標はないって言うてたピヨね?
そうだよ。世間的な難易度の目安となる意味の偏差値はありません。
だけど、本来的な分布という意味であれば出せますよ。
行政書士の難易度を偏差値で言うと60~63
詳しくは、行政書士の偏差値は?
偏差値での表記は具体的なイメージがつかみやすいとは思いますが、あくまで参考程度に止めておいてください。
この偏差値がある程度的を得ているため、大学入試や公務員試験と比較されてしまうわけです。
ですが、偏差値の本来的な意味から考えると、合格率と変わらない横割りの要素です。
それがたまたま、他資格との比較しやすい数字になっていて、行政書士も他資格も経験した人から見ても妥当な数字に落ち着いただけの話です。
ですが、難易度を考えるうえで抜群にイメージしやすいため、参考値として紹介をしています。
行政書士の難易度を一言でズバリいうとこうなります。
- フルタイムで働いている社会人で
- 法律をこれまでに全く勉強したことがない人が
- 独学であっても
- 一年必死で勉強すれば、
- 何とか合格ができる可能性がある資格。
なぜ箇条書きにしているかと言うと、あなたにとっての難易度を下げる要素がここなのです。
難易度を下げる要素
- 勉強時間がふんだんにあるか、人より多い時間を勉強にあてられるか。
- 法律既学者である。
- 予備校や通信講座で学ぶ。
勉強時間に時間が多く使える。人より多い時間を勉強にあてる。
当然有利にはなりますが、社会人が多いので、あまり時間は取れないと思います。
ブラック企業だとさらに厳しいピヨ。
法学既学者である
先ほども触れましたが、上位資格の経験者や合格者は圧倒的に有利です。
ですが、彼らは人生をかけて法律を勉強してきた人たちです。
それ以前に過去の話ピヨ。
同じく先ほども触れました、宅建合格や法学部卒はそこまで大きなアドバンテージではありません。既学者だからと油断して不合格になる人を毎年必ず結構な数見かけます。
どちらにしても、変えることのできない要素ですから現状で勝負するしかありません。
予備校や通信講座で学ぶ
先の二つは変えられません。
ですが、この点だけは誰にでも変えられます。
プロの指導を受けて学習するのと、独学で模索しながら同じ勉強をするのでは、仮に勉強時間が同じ場合差がつくのは明白です。
こんな実験をしてみました。
岡島はんのおすすめ講座はここにまとめてあるピヨ。
独学では合格できないとは言っていません。
現に私自身は独学です。
ですが、体験上かなりつらいです。
年に一回しかない試験ですのでリスクが高すぎます。
そうはいっても、経済的な理由でどうしても独学でなければいけない人もいると思います。
ただし、かなりマッチョな内容です。
楽して、短時間・短期間で合格したいと考えている人にはそもそも向きません。
行政書士は難関資格ではありますが、受からない試験ではない。
今までの考察を見て、「うわ、難しいそう」と思ったかもしれません。
確かに、簡単な試験ではありません。
ですが、
十分な対策と、学習量を確保すれば合格は狙えます。
難しすぎるわけではなく、簡単なわけでもありません。
絶妙な難易度なのです。