アガルートアカデミー公式サイトには令和2年行政書士試験、法令科目出題カバー率95.7%
との記載があります(2020年8月現在)。
「ほんまかいな」と、思いませんか!?
本当であったとして、
「条文問題ならこの書籍で完璧ピヨ。なんといっても掲載率100%ピヨよー」
その書籍の名は「六法全書」というピヨー♪
的な、なんでもかんでも掲載しているオーバースペックテキストではないのか!?
司法試験受験生が使うようなガチガチの法律書をイメージする人もいるかと思います。
気になりますよね?
なら調べてみよう。というのが今回の記事の内容です。
- 使用するテキストは、行政書士試験2021総合講義。
➡令和3年受験する本科生が使用しているテキスト。 - 使用する過去問は当然、令和2年度行政書士試験問題
- 検証科目は憲法・民法
➡最も出題数の多い行政法をなぜ検証しないのか?
☆やる前から結果が明白。
まどろっこしい検証内容とかいらない、結論だけ教えてくれ。
という人もいるでしょうから、結論と大切なことを先にお話しします。
Ⅰ・憲法:令和2年憲法はかなり難易度が高い。
➡にもかからず、テキストはほぼ完璧にカバーしていた。
Ⅱ・民法:令和2年度の民法はかなりトリッキーな問題とびっくり問題で構成されていた。
➡(奇問が出たので)全問掲載ではないが、
ほとんどカバーされていた。
≪ここ大切≫
今回使用するテキストは令和3年対策ではあるが、発行発送は前年度試験前(最速で令和2年8月から受講可能、本試験は11月)になされている。
➡後だしじゃんけんのテキストではない。
【悪い点もある】
①網羅性が高い=情報量が多い。
何も考えずに頭から覚えようとすると高確率で挫折。
講義と併用することでメリハリをつける。
②リンクが自己作業。
過去問・講義番号へのページ番号の記入を自分でする必要があります。
この点は結構不便に感じました。
【結局アガルートのテキストは有用なの?】
高い網羅性と丁寧な解説でとても有用なテキストです。
図表が多く、まとまっていて使いやすい。
市販品と比べてはいけません。別次元です。
本記事は、2021年8月現在の情報を元に進めています。
カバー率95.7%は2021年8月に公式サイトにて確認した数値。
憲法の検証。まさかの出題に、まさかの神対応。
憲法テキストの第一印象は
行政書士試験対策としてはオーバースペックじゃないか?
でした。
ところが、令和2年の本試験問題を検証していく中で、みかたが変わります。
憲法に関して最適なレベルのテキストであったと考えます。
令和2年(2020)の憲法はどんな問題だったのか?
令和2年度の憲法は難易度が高かったと感じます。
民法と異なり、驚くような判例が出題されているわけではありません。
1肢とんでもない肢がありましたが、全体的にはオーソドックスな素材。
条文・判例とも有名どころばかりです。
ですが、問われている内容が、過去の本試験より一歩深いところをついてくる。
随所に難しい肢が、混ぜられていました。
そのため、正解が出しにくい問題が多い印象です。
前年までと同様の対策だとかなり苦戦したのではないかという印象です。
独学の視点で見ると
市販書で勉強した人は、この年の憲法はかなり苦戦したのではないかと感じます。
- 問題3は空欄(エ)で迷いません?
- 自信をもって取れた問題って問題4くらいではないでしょうか?
- 問題5は著作権の関係で本文が読めませんので除外。
- 問題6は肢2に引っ張られますよね・・・・・。
- 問題7、事件は聞いたことあるけど、、、、、(ア)以外自信ない
本試験当日は、問題1に心おられ、憲法でさらに追い込みをかけられペース崩された受験生がかなり多かったのではないかと想像できる問題でした。
検証結果
結果は、ほぼ完璧に網羅されていました。
検証不能な問題5以外は、全問制覇可能な内容でした。
当時の本科生は憲法においては他の受験生よりかなり有利であったと思います。
とくに驚いたのは、この年は学説が肢の一つとして出されています。
行政書士試験で学説が出されるのは極々まれです。
まさか、肢の一つとはいえ学説が出されるとは思いませんでした。
さすがに、これは載ってないだろう・・・・。
と思っていたら、補足説明ではあるもののかなりしっかりと記載されていました。
まさかの出題に、まさかの神対応。
では、学説までゴリゴリになんでもかんでも載せているガチムキマッチョなテキストであるかといえば、
そうではありません。
確かに、人権分野であれば、有名判例についてはかなり踏み込んだ記載されています。
数年前(平成終盤)であればオーバースペックなテキストであったと思います。
ですが、
- この年の問題であれば、必要レベルのテキスト。
- とはいえ、決して深すぎる、細かすぎる内容のテキストではない。
民法の検証。登場!!掲載不能なびっくり問題
憲法の記載がほぼパーフェクトだったのなら、民法も完璧だったピヨ?
さすがに、そうはいきませんでした。
というか、この年の民法ではかなりのびっくり問題が登場したのです。
といいますか、問題がトリッキー。
民法で医療!?・・・これ行政書士試験だよね!?
びっくり問題とは、医療についての問題でした。
知識として知っていた受験生がいたのか謎です。
さすがにテキストに記載はありません。
誰も取れない問題だったのか?
では、誰も取れない問題であったのかといえばそうでなさそうです。
逆に一般知識として出されていたらかなりの人が取れたのではないでしょか?
というわけで、試してみました。
法律の勉強を全くしたことのない妻に解いてもらいました。
えー(言葉が難しくて肢の)意味わからない。
よくわからないけど多分1か2なんだと思う。
多分2!
ハイ正解。
理由を聞きます。
5は絶対違うと思った。
4は、町の診療所では手に負えないけど大きな病院だったら助かる可能性はあるような状況でしょ!?その義務がないっておかしくない?
3はね、保険診療では治療できなくても、先進医療だっけ?だったら治療できる可能性があるんだったら教えてほしいよね。
完全に感覚だけで解いてますが、当時の受験生もほとんど勘だと思います。
一般知識で全く知らない問題にぶち当たったとき、似たような思考で絞り込みますので一般知識向けの問題だと感じたのです。
とはいえ、本試験の緊張感と民法の後半という頭がつかれてくる状況の中で、民法だという意識に引っ張られずに回答を引き出すのは簡単なことではなかったと思います。
捨て問といえば、その通りなのかもしれません。
びっくり問題パート2、魔の30問復活か!?
平成の20年代中盤、魔の30問という世の受験生の大多数が知らないであろう問題が問われた時期がありました。
令和2年の30問も知っている人のほうが少なかったのではないでしょうか?
選択債権という分野からの問題です。
一応、条文問題ではあるのですが、難しいですよね。
当然、受験当時私が使っていたテキストには記載ありません。
アガルートのテキストでは記載はありましたが、テキストの内容で切れるのは肢の1だけでしょう。
肢2はある意味感覚的にきれますが、別講義(田島先生の逐条ローラーインプット)で割としっかり触れられています。
(これから勉強を始める人は読み飛ばしてください。もし過去問集お持ちであれば令和2年30問をご覧ください)
1と2が切れているのであれば、
3が濃厚だと考えますよね?
A所有の甲と乙、どちらかを渡す契約だから甲がAの過失でなくなった(自分のやらかしで、自分のものがなくなっただけの話)のであれば、乙渡せばそれでよくないか?
まあ、言われてみればその通りなのです。
でもね、すごくひっかけっぽく感じてしまいませんか?
4と5が同系統の選択肢でかなり細かいので余計に気になります。
その点からも、正解出すのは難しい問題であったと考えます。
ちなみに、先程の医療の問題同様、多くの受験生が見たこともないテーマなので、選択債権の問題も妻に解いてもらいました。。
こちらは、やはり間違えてくれました。
そりゃそうですよね。
で、結局民法の掲載はどの程度だったのか?
結局民法は、テキストでしっかり点数取れたのか?
といえば、十分以上な結果であったと言えます。
びっくり問題のほかにも、
改正が入った特別養子、出題は改正されていない部分。
お久しぶりの根抵当。
同じくお久しぶり出題の債務引き受けですが、判例から条文へと改正で昇格したので多くの人が対策をしていたと思います。
いわゆる、マイナー論点や意外性を狙った出題が多かった印象です。
この辺りも十分にカバーしており、受講生は十分に対応できたのではないでしょうか。
陰湿に重箱の隅をつついてみる
あえてケチをつけるのであれば、この問題。
問題32肢2と肢5がテキストには未掲載。
同時履行の抗弁権の問題からの出題です。
その中で肢2の造作買取請求権は借地借家法の規定です。
借地借家法は行政書士試験対策として通常は勉強しません。
テキストでは造作買取請求権は建物買取請求権とともに必要な範囲でカバーされています。
過去出題されているのと、民法の理解に役にたつことが掲載の理由であると考えます。
とはいえ、造作買取請求権と引き渡しが同時履行関係であるところまではさすがに細かい。
造作買取請求権がどういう請求権か把握していれば明らかにバランスが悪いので切れる可能性はあるかもしれません。でも、細かいですよね。
肢5は未掲載ですが、過去問知識です。
令和2年32問肢5の具体例が、平成27年32問の(イ)というだけの話です。
テキストより過去問見たほうがわかりやすい珍しいケース。
であれば、テキストに掲載してややこしくするよりは、過去問で学んでくださいという意図で掲載していないと感じます。
この点からも、情報をやたら詰め込むだけの筋肉質なテキストではないと感じます。
択一のみならず、記述も十分対応。
択一の話ばかりでしたが、記述も十分対応可能な記載がしっかりされております。
記載=書ける
というほど単純なものではないのですが、民法二問とも回答に必要な知識は十分に網羅されていました。
かなり有利であったことは間違いないと思います。
他の科目は検証しないの?
おい!岡島はん、なんで最も配点が高い行政法の検証せんのや?
一般知識もやけど、なんか都合の悪いことでもあるんか???
都合の悪いことはなにもありません。
理由を説明していきます。
行政法の検証は・・・・・しません。結果がわかりきっているから
行政法の検証をしないのは、めんどくさいから。
冗談はおいておいて、
理由は検証するまでもなく結果がわかりきっているからです。
行政法は過去問で十分に対応可能な科目です。
中には、肢単位で未掲載の肢はあるかもしれません。
しかし、それで合否が影響あるのでしょうか?
そんな雑な学習ではないことは憲法や民法の検証結果を見れば明らかです。
そもそも、市販書でもかなりのカバー率がでるのが行政法です。
具体的検証をするまでもなく、十分以上のポテンシャルがある。
アガルートのテキストのデメリット
高い網羅性と丁寧な説明が魅力のテキストですが、弱点もあります。
- テキストが分厚い。
➡初学者であれば、ある程度のボリュームは必要。 - 情報量が多すぎてしんどい。
➡頭から全部覚えようとすると高確率で挫折。
➡講義と併用して真価を発揮。
➡勉強が進めば進むほど価値を実感。 - 講義番号や過去問集のページ数の記入を手作業でやる必要がある。
テキストが分厚い
テキストや参考書の選び方として薄いものがよいといわれています。
テキストが分厚いので、良くないのではないか?
と思う人がいるかもしれません。
確かに、法律をしっかり学んだことのある人であれば、薄いほうが端的にまとまっているので使いやすいかもしれません。
ですが、薄いものはおすすめしません。
それどころか、テキストは市販書であっても分厚いもの、分冊されているものを選んだほうが良いとまで言っています。
市販テキストの選び方はこちら
薄いテキストは、すでに理解している人にはよくまとまっていて使いやすい。
しかし、初めての人や理解追い付かないうちは、
・何が書いてあるかわからない。
・何を覚えればわかるのかがわからない。
・そもそも、言葉の意味がわからない。
➡この点を詳しく記載すれば、どうしても分厚くなる。
情報量が多すぎて、しんどそう
一見すると情報量は多いです。
無駄に多いわけではなく、必要な範囲を詳しく学ぶから多い。
とはいえ、情報量が多いと腰が引けてしまう人もいると思います。
このテキストは講義と連動することで真価を発揮します。
講義では掲載事項すべてを解説するわけではありません。
講義で基礎を体系的に学んでいきます。
(出題の実績・可能性はあるが)細かいところ、いきなり学ぶと混乱するところは必要になってから戻ってこれる。
つまり、
(行政書士試験のレベルの範囲で)基礎から応用まで、網羅性の高いテキスト。
講義でメリハリをつけ、器用貧乏にならない、効率的な使い方ができる。
勉強が進み、知りたいことが増えてきても十分対応可能であり、
かなり勉強が進むと、決して情報量が多すぎるわけではないということに気が付くはずです。
必要最低限でも必要以上でもなく、必要十分な情報量のテキスト。
講義番号や過去問へのリンクが手作業
このテキストには、講義番号や過去問へのリンクがありません。
この点はかなり不便さを感じました。
過去問へのリンクは、自分で行うことに学習効果があるので良いとしても、
2回目以降テキストページの内容を詳しく知りたいから講義を聞こうと思っても、探すのに若干の手間がかかります。
初回にテキスト内にメモしておくこと強くすすめます。
結局アガルートのテキストは有用なのか!?
一言でいうと、非常に有用なテキスト。
- 必要十分な情報量、
- 丁寧な解説、
- 図表を多用して視覚的に理解しやすい工夫
- 講義を併用しメリハリをつけた段階的な学習が可能
市販品と比べてはいけません。
全く別物です。
ちなみに中古品を入手することはできません。
規約にて禁止されており、フリマでの出品はかなり厳しくチェックされています。