模擬試験は予備校実施のものを受験したほうが良いと言ってきましたが、言ってるだけでは説得力がありません。
また、私が合格したのはすでに数年前、変化の激しい時代ですから、時代にあった対策が必要です。
そこで、アガルートの令和3年度行政書士模擬試験をレビュー受験させていただきました。
- 模擬試験の役割は当然網羅
➡実力の把握
➡本試験のシュミレーション
➡肢の入れ方が本試験に近いように組み立てられている印象 - 学習素材としても優秀
➡押せえどころの基礎の確認
➡今年は「これ」は外せない、最新判例や最新事例 - 解説講義が半端じゃない
➡肢の切り方や考え方のポイントがよくわかるため、見たこともない問題での対策法も学べる。
➡本試験でのひっかけ方や特徴なども言及している。
➡これらのコツをつかめると、今後の学習で条文や判例を見る目が変わる。より本試験に向けた密度の濃い学習が可能になる。 - デメリット
➡自宅受験のため会場の雰囲気を味わえない。
➡本科生がうらやましく思えてくる。
模擬試験として必要な点は網羅しつつも、模試以上に学べることが非常に多い。
この価格でこれだけのことを学べるのは破格。
人によっては、本試験までの期間の勉強の密度が変わる可能性すらある。
特に独学生と攻略法系通信講座受講生には受験を強くお勧めします。
注)この記事を書いている時点で現行運用されている模擬試験です。よって、問題の内容について言及はしません。ですが、最新の重要判例といえばかなりの方がピンと来てしまうのも事実です。この点において必要最低限の範囲でネタバレを含んでおりますことご容赦ください。
模擬試験としての役割は当然のように網羅されている
模擬試験の役割として、
- 実力の把握
- 本試験のシュミレーション
があげられます。
これらの点については
【2021行政書士おすすめ模試】独学者ほど予備校模試を受験すべき理由
で詳しく解説しています。
これらの役割はより本試験の雰囲気に近いほど効果的であることは言うまでもありません。
この模擬試験はより本試験に近づけるための工夫を各所で感じました。
- 問題冊子が本試験のものと類似している。
- 問題冊子のページ数、問題文の文字数も本試験に類似するように考えて制作されている印象。
- 択一の肢の入れ方も、本試験でありがちなパターンを複数バランスよく配置している印象。
- 本試験特有の内容のいやらしさも再現しようとしている印象。
問題冊子が本試験のものと類似している。
この点は、ほかの模試でも同じだと思います。
見た目のみならず、紙質なども近い印象を受けました。

細部にまでこだわっている感じが強く伝わり、中身を見るのが楽しみでした。
解答用紙は本試験のものとは異なっていますが、コピーして再度挑戦できるようになっているのかな?という印象です。
内容は、
- 問題冊子(A4)一冊
- 解答用紙(A4)3枚
- 問題、回答、解説テキスト(B4、厚さ1cm程度)一冊
問題冊子のページ数、総文字数も本試験に近づける努力が見て取れた。
見た目や紙質が近いのはどこでも同じだと思います。
アガルートの模試でさらに感じたのは、ページ数や総文字数も本試験と同等レベルに調整しているのではないか?という点です。
本試験では試験時間が決まっている以上、文字数を増やせば読む時間が増えるので、回答にあてる時間が減ります。
ここが、極端に本試験と乖離していたら模試としての価値は多少落ちてしまうのは言うまでもありません。
もちろん、問われている内容が最も大切であることも言うまでもありません。
内容に妥協は見られず、総文字数を本試験に近い範囲にまとめたのではないか?という印象が強いです。
肢の入れ方も本試験でありがちなパターンを複数バランスよく配置
本試験受験経験ある方にはよくわかると思いますが、本試験では2択に絞るまではそう難しいことではありません。
では、なぜ2択までは難しくなく、そこからの選択が難しいのでしょうか?
肢の配置が絶妙だからです。
この肢の配置、入れかかたもかなり工夫して本試験に近い印象を強く受けました。
あまり詳しく書くとどうしてもネタバレになってしまいますので、ほどほどにしておきます。
- 有名どころの既出肢
- 見たことも聞いたこともない肢
- 知らない判例問題
- 有名だけど「そこはどうだったっけ?」となる肢
など、様々な選択肢がバランスよく配置されています。
本試験特有のいやらしさも再現しようとしている印象
本試験特有のいやらしさといえば、有名なのは第一問。
一問目から難問で受験生のペースを乱してかく乱してくる。
これ以外にも本試験特有のいやらしさがあるわけです。
過去問演習では「こういう問題だ」と思って解いていくので違和感ないですが、本試験に行くとえげつなさを感じる問題って結構あるわけです。
模試の一問目は一見、オーソドックスなテーマからの出題かと思いきや、肢の内容をよく見ると・・・・・。

こんなの知らないピヨよーーーーーー。
人によって感じ方は違うのは当然ですが、私的にはしっかり再現されているなという印象を受けました。
特筆すべきは、心を折るためだけの問題ではないのです。
基礎法学は対策の難しい科目ですが、最低限知っておきたいのは、この分野とこの分野という点はしっかり押さえてくれています。
模試の問題としての役割と、今後の学習に向けた内容を両立している非常に問題作るのに苦労したんだろうなと感じる一問でした。
学習素材としてもすぐれている。
模試の特性上、すべての重要項目を掲載することは不可能です。
とはいえ、多くの重要論点がしっかり含まれており学習素材としての有用性もあると考えます。
また、重要最新判例や事例も含まれています。
販売時期の影響で市販のテキストには未掲載のものもあるかと思います。
はっきりと覚えているわけではないのですが、
かつて(平成20年代中盤のはず)一般知識でペットショップの問題が出題された年に動物愛護法の改正が行われていたり、
民法で女性の再婚日数の判例が出た年に、肢の一つとして入れられていたはずです。
行政書士試験の特徴として、最新の改正や判例、出来事が織り込まれているケースがあるために最新の動向はチェックしておく必要があります。

民法大改正は受験生全員ガッツリ対策したためか、豪快にすかされました。
さすがにやりすぎ感は否めませんが、この手の駆け引きも行政書士試験特有のいやらしさです。
この点もしっかりとカバーしてくれています。
解説講義が半端じゃない。
このように、模試の問題自体や構成が良くできていて、学習素材になるのですが、
さらに、5時間に及ぶ解説講義を含むことで、今後の学習につながる優秀な体験へと昇華します。
解説講義は、ただ単に問題に対する解説ではありません。
解説は当然として、
肢の切り方や考え方のポイントが学べる。
そのため、見たことない問題での対処法も学べる。本試験でのひっかけ方や特徴なども言及している。
上記、コツをつかむことで、今後の学習で条文や判例を見る視点が変化する。
より本試験に向けた密度の濃い学習が可能になる。
見たことのない問題への対処法が学べる
この模試の特徴ではありませんが、解説講師は豊村先生です。
日常に紐づけした例が多いのが特徴。
このため、抜群にイメージがしやすい。

具体的な場面がイメージできれば、ある程度自身の常識で切れる肢が出てきます。
なぜなら、試験範囲の法律は現実に運用されている、世の中のルールです。
言葉は難しくても、具体的なイメージができればある程度「ありそう」とか「これはないだろう」という感覚で判断できることもあるのです。
もちろん本試験は、感覚だけでクリアーできるほどぬるい試験でないことは知っていると思います。
ですが、みたことない肢、全く知らない問題にぶち当たったときにある程度絞り込めるメリットはかなり大きい。
問題を解くコツが満載
問題の解説冊子は別にあるわけです。
よくある、問題の解説を読んでいるだけの講義ではありません。
ラインを引きながら、見るべきポイント、注目すべき点をたどってくれます。
そのため、肢の切り方のテクニックも盗むことが可能です。
また、本試験でよくあるひっかけ方、特徴にも触れてくれます。
先程も触れましたが、とにかくわかりやすい日常に例えてくれますので、とにかくわかりやすい。

講義だけをみるとわかりやすすぎて、「簡単じゃないか」とすら感じてしまうわけです。
が、模試の問題に苦戦した後ですので、より一層講師の力量を感じました。
ポイント、抑え方やテクニックをものにすることで、今後の学習の密度が濃くなる可能性があります。
模試を通して、今後の学習が変わる
模試とは言え3時間、問題にぶつかり、そのうえで採点をして、解説講義で解き方、ポイントまで抑える。
実際本試験ほどではないにしても、得られるものは多いと思います。
そのうえで、ひっかけ方や特徴などまで把握できると、今後の学習の密度がより濃くなると言えるでしょう。
- 過去問を見ても、どこに注目して解いていけば正解にたどり着けるのか?
- この条文のここが出されそう
- この判例のこの部分はしっかり覚えておかないと問題が解けない
などの抑えるべきポイントがより明確になるきっかけになってきます。
危機感とでも言いますか、脳は「この情報は重要だからしっかり記憶しなければいけない」という働きをするようになると言われています。

受験当時、直前期に自分なりに出題を予測しながら過去問やテキストの復習をしたときは、以前より格段に記憶に残っていたことを覚えています。
模試で問われたポイントを直近の過去問で振り返ってみると、過去問の理解度が深まっていることにも気が付くことでしょう。
これが、この模試が今後の学習の密度を高めるという意味なのです。
デメリットもある
メリットばかり言ってきましたが、もちろんデメリットもあります。
自宅受験のため会場の臨場感はない
最も大きいデメリットは、自宅受験のため会場の雰囲気を味わえない。
この点に関しては、このご時勢ですので、しょうがないというしかありません。
ページをめくる音、書き込みの鉛筆音、など気になる人はとても気になると思います。
本科生がうらやましくなる
この点は要注意です。
模試一つでここまで濃い内容が展開されている以上、本科生の実力はある程度想像できます。
アガルートの異次元な合格率もある程度納得ができるのではないでしょうか?
このレベルの学習を人によってはすでに丸一年積み重ねているということです。
情報を得ている人であればあるほど、行政書士試験の実態は相対評価であることを知っているはずです。
勝てるわけないと戦意喪失してしまう人が出てしまうことが最も懸念されます。
安っぽい言葉で申し訳ないのですが、過去を振り返っても仕方ありません。
残された期間でできることを全力でやっているよりほかに選択肢はないのです。
まだ、勝ち筋が失われたわけではないのです。

とはいえ、このように感じる人はごく一部であると思います。
夏より先の時期は、能天気に絶対評価の試験だから他人は関係なく180点取れればよいのだ。
とかんがえて、できることを粛々とやりましょう。
受けて損はない、受けなきゃ損まである模擬試験
さて、アガルートの模試を受けてみた感想を述べてきました。
アガルートに限らず、他の予備校の本科生であれば、模試としての役割以上のメリットはさほど大きいわけではありません。
ですが、特に独学生であれば学ぶべきポイントは山のようにある模試と解説講義だと言えます。
価格からみても破格であると言えます。
攻略法系の講座受講生と独学生には、強くお勧めできる模擬試験であると言えます。
アガルート模擬試験・・・全一回 解説講義、約5.5時間 価格税込み4.400円