驚いたことに、そもそも行政書士が何をしているか、何ができるのかを知らないまま勉強してる人が相当数いるらしいので、今回は行政書士ってなに?って話をします。
家族、友人が行政書士の勉強をするとかいいだしたけど、行政書士が何してるのかよくわからん、という人も是非ご覧ください。
行政書士は官公庁に提出する書類を・・・・どうのこうの・・・・
って、話をしても面白くもなんともないので、基本はお伝えしつつ、岡島流でぶった切っていきます。
ただし、私は行政書士試験は合格していますが、登録はまだしていません。
情報収集はかなりやってる方だと思っていますが、真実と異なることもあるかもしれません。
故にポジショントークではなく、客観的に見れると思っています。
行政書士とは?
行政書士とはそもそも何ぞや?
って、一言で問われると結構難しいもんですが、
歯医者さんは虫歯の治療してくれる職業、税金の相談や申告をしてくれるのが税理士さん的な乗りで言うと、
行政手続きのお手伝いをするのが行政書士ということになります。
これは行政書士法っていう、行政書士制度について定められている法律なのですが、そこの一番最初、第1条に目的規定として定められています。
第一条 この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とする。
資するっては役に立つくらいでOKです。
目的規定はすべての法律にあるわけではないのですが、比較的新しい法律には多く定められています。その法律は何を目的に作られたのか、何を定めているのかが最初に書いてます。試験科目の行政手続法、行政不服審査法には定めがあり、頻出です。一方行政事件訴訟法にはありません。気になったらすぐに六法でチェックですよ。
八士業の1つです。
八士業とは、
弁護士・司法書士・土地家屋調査士・社会保険労務士・海事代理士・弁理士・税理士そして行政書士
を指します。
他にも「○○士」という資格はたくさんありますが、決定的な違いは、職務上の必要があれば住民票・戸籍を職権で請求することができる点にあります。
基本的に独立起業型の資格です。
行政書士は基本的に独立起業型の資格です。例外的に行政書士法人で雇われることは可能ですが、○○株式会社の社員行政書士みたいな形にはできません。
基本転職には役に立ちません。
ただ、一定のレベルの法律知識を持っている、努力ができるという評価はされるかもしれません。逆に、将来独立するつもりだ、と捉えられマイナスに働くかもしれません。
行政書士は人気の資格?
俺は何が何でも行政手続きのお手伝いがしたいんじゃー
っていう人よりは、今の会社を辞めたいとか、非正規で将来不安って人が人生逆転をかけて取る資格という側面もあったります。司法試験に受からないから行政書士してますって方もおおいので、ポジティブな理由で始めるというよりはネガティブな理由で始める人が多い印象を受けます。
ですが、起業としてみたら初期費用が飲食店などで起業する場合に比べ格段に安く、維持費もそこまでかからないことから自分の力で稼ぎたいという人たちにも人気の資格となっているの現状です。稼げるかは別問題ですが。
手軽に始められる起業として人気?
費用はかけようと思えばいくらでもかけられるのですが、必要最低限だけで言うと開業するだけなら50万程度で済むはずです。
初期費用の中で大きいのは行政書士会への入会金です(行政書士会は強制加入団体です)。
その入会金が面白いほど都道府県により違いますね。
東京20万、大阪25万、なんでやねん。ザーッと調べると、15万~25万かかるそうです。
それでも、一般的な起業に比べたら格段に安く始められ、それなりの信頼性もあります。在庫を持つ商売でもなく、固定費は最低限だけなら書士会の会費程度ではないでしょうか?あとは保険(業務保険があるらしいですよ)、広告費でしょうか。
光熱費や通信費などの事務所維持費は自宅でやる場合と事務所借りる場合でかなり変わりそうです。
資格自体も、8士業の中では最も取りやすく、やり方を間違わずに一年しっかり学習すれば取得は十分に狙えます。
そのうえ、初期費用も起業としてみたら安価であるため、手軽に始められる起業として人気になっているといえます。
業務が簡単である、気軽にできる仕事である、責任が少なく手軽であるとは言ってません。
働き方改革を以前からゴリゴリ実践してきた先端職業なのかも
初期費用、維持費の安さから副業としても注目されています。
統計データを見る限り、専業で行政書士をやっている人の方が少ないようです。
他資格とのWライセンス、専業行政書士、在宅ワークとして、パートとして103万の枠内で、副業として
様々な働き方ができるように現時点では認識しています。
あなたの街の法律家?
「街の法律家」というキャッチコピーでPRしている行政書士ですが、
行政書士が法律家か否かって議論はあるのですが、個人的にはどっちでもよいです。
法律家かどうかに興味ありません。
まとめると
基本は行政手続きをお手伝いする仕事で、必要があれば住民票や戸籍が職権で取れる8士業の一つである、独立開業型の国家資格資格です。
端的に言うとこういう感じです。
行政書士の仕事ってどんなことしているの?
行政書士がどのような仕事をしているかというと、わかりません。
範囲が広すぎて説明が難しいのです。
基本的には3つ挙げられます。これら書類の作成とその代理、相談です。
- 官公庁に提出する書類
- 権利義務に関する書類
- 事実証明に関する書類
官公庁、○○省・○○庁・市役所や警察など、に提出する書類はいいのです。まんま行政手続きなので、ただし、他の法律、主に他士業法に定めのあるものはできません。
ややこしいのが権利義務、事実証明です。
ややこしいので、詳しくは行政書士会のHPを見てもらえばイメージはつかめると思います。
とはいえ、個別の書類ですべてができるわけではなく、
どこまでがOKで、どこからがNGなのか非常にわかりずらいですね。
他士業の独占業務がNGなのは当然ですが、
紛争性があるもの、紛争になる可能性があるもの、交渉事はNGって感じです。
範囲が広いってどういうこと?
新しい商売や技術ができると、何の規制もなく無秩序にできるなんてことはありません。
ほぼ、新しい法律や改正で規制をかけてきます。
そうしないと、困る人が必ず出るからですね。そこに新しい仕事が生まれるわけです。
近年では民泊やドローンなどが有名ですね。
許認可の申請数の多少や手続きに煩雑さに難易はあるけど、数千あるよって話です。
さらに、その上にややこしい事実証明や権利義務の書類が入るわけですから、職域が広ぎてよくわからないわけです。
故に、何でもできる=何が得意かわからない
行政書士が何をしているかわからないという話になります。
さらに、輪をかけて
当然ですが、誰でもできる仕事もしていいわけです。
空き家問題って聞いたことあります?一般知識でもたまに出てきます。
この空き家問題の解説を新聞でも、タウン誌でもなんでもいいのですが、
解説記事があった場合、誰が書いても違法性はないわけです。
サラリーマン記者でもよければ、フリーのライターでも、大学教授でも、弁護士さんでもだれでもOKなわけですね。
でも、読み手からしたら、有名大学の教授や空き家対策専門の弁護士(いるのかな?)の肩書があったほうが信頼性は高いわけです。
そういった資格の肩書、信頼性を上手に利用している方もいるようです。
コンサル、オウンドメディア、社外取締役、出版、セミナー、他にも色々
国家資格というある一定の信頼があるわけですから、うまい人は上手に活用しています。
でも、逆に言うと商売の才能がないときついとも言えますよね。
王道の許認可業務ですら、何を選んで、どう集客するのか難しいところなのに、資格の信頼性や権威性までも売り物にできるわけですから、やれることが多すぎて逆に難しいです。
お客さん的にも「この人は何をしてくれる人なのかわからない」となっても何の不思議もないわけです。
「元プロスポーツ選手です。コーチの仕事受けます」
みたいな宣伝のイメージです。少年野球のコーチに元Jリーガーが来てもね。
あなたは何のプロなんですか?
わからないとだれも依頼しないことは明白ですよね。
職域が広いことは良いことでもあり、悪いところでもあるわけです。
ですが、アイデアや戦略で今までにない価値を提供できる可能性があるのは行政書士の面白いところだといえます。
その点からも、法律家というよりはビジネス寄りの法律職といった方がいいかもしれませんね。
行政書士になるには
では、行政書士になるのはどうしたらよいのでしょうか?
大きく二つのルートがあります。(ほかにもありますが無視してOkです)
- 行政書士試験に合格したもの
- 公務員を一定年数以上務めたもの
これだけではだめです。
これらの条件を満たしたうえで、欠格事項に該当しない、事務所の要件などを充たし、行政書士会に加入することで初めて行政書士になれます。
事務所要件は、事業に使える場所かどうかもありますし、仕事ができる場所か、守秘義務が守れる場所であるかを調査しに来るそうです。
現職が公務員でない限り、行政書士試験を受験して合格して、行政書士法2条のいう、行政書士になるための資格を有する者、になる必要があります。
行政書士試験概要
基本的なことは行政書士試験センターに記載されてます。
受験資格
ありません、誰でも受験可能です。国籍も問いません。
平成30年だと、上は94歳、下は13歳の人が申込みをしてますね。
未成年は合格しても登録ができません。登録要件が20歳以上なのです。
ですが、一度合格したら一生有効です。
試験日時
一年に一回、11月の第2日曜日、13時~16時までの3時間行われます。
行政書士法上は年一回以上となってますが、一年に複数回行われた例はしりません。
行政書士試験を目指す人はまず、この11月の第2日曜日の予定を確実に開けることから始まりますよね。
12時半から説明がありますので入場はそれまでということになります。
因みに、試験開始後30分を過ぎると受験ができない、とあります。
では、試験開始しても20分なら受験できる、っていうのは何解釈といいましたか?
30分ピッタリはアウト?セーフ? この辺は基礎法学で学ぶことと同じですね。
試験科目
法令科目46問
一般知識24問
計60問
法令科目
厳密には「行政書士の業務に関し必要な法令等」といいまして、
憲法、民法、行政法、商法、基礎法学から出題されます。
注意点は、法改正はその年の4月1日に施行されている内容で試験が行われるということです。
4月2日以降に施行される法律は翌年の試験範囲になるわけですね。
あくまで、法律は、って話であってでは判例は?
行政書士試験では比較的新しい判例が出される傾向は確かにあります。が、さすがに試験年度の判例が出された例は、見落としてなければないはずです。
一般知識
こちらも正式には、「行政書士の業務に関する一般知識等」といいます。
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解が範囲とされています。
この一般知識が行政書士試験名物のビックリ箱でして、
過去問見てもらえると驚きますよ。「これが行政書士と何の関係があるんじゃい?」と疑問を持つこともあると思います。
一方で、繰り返し似たよなテーマが出されている部分もあります。
出題形式
法令科目で40字記述が3問、民法から2問、行政法1問で出ます。ただ、民法、行政法から出題するとはどこにも書いてません。平成18年に試験制度の改正があってから今日までそうだったというだけの話です。
多肢選択式、問題文中の()ア~エに当てはまる語句を選べ的なやつで、20個の選択肢の中からマークします。これが、3問、憲法1問、行政法2問です。記述同様科目の指定はされていませんが、試験制度改正から今日までこのスタイルです。
残りの54問は五肢択一式です。
合格基準は?
300点満点中180点以上で合格の絶対評価の試験です。
ただし、足切りがありまして、一般知識等24点以上、6問取れないと法令満点でも不合格となります。
表向きの条件としては
- 法令122点以上
- 一般知識24点以上
- 合計で180点以上
となってますが、仮に一般知識が満点の56点だとしても、法令科目が121点では180点に及びません。
つまり、条件1は事実上ないのと同じです。
絶対評価の試験ですので、その年の受験生のレベルや問題のレベルで合格者数は大幅に上下します。
過去に一度だけ合格点を引き下げる補正措置が取られたとこがあります。平成26年度法令等110点以上、合計得点166点以上とされました。
逆に合格点の引き上げは今まで一度もありません。
受験料は
7000円です。
申込みは
7月下旬~8月下旬、詳しい期日はセンターのHPで発表されます。
申込みはインターネットか郵送となっており、
私は気分的に盛り上がるという謎の理由で郵送にしましたが、受験ぽさでるから、ネットの方が手間は少ないと思います。
合格発表はいつ?
大体、11月に試験が終わったら翌年の一月後半です。
センターのHPで受験番号の確認もできますが、
はがきでも通知が来ます。当日に必ずつくわけではない、郵便事情があったります。
このはがきには得点も記載されています。
記述の採点がされてない場合は、一般知識の足切りか記述満点でも合格点に及ばない場合ですね。
試験放棄の場合も通知が来るのかはしりません。
ちなみに、受験票も合格通知も年度により色分けがされているそうです。何年が何色なのかはしりません。
ぶっちゃけ儲かる?
やっぱり気になりますよね。
ですが、ぶっちゃけわかりません。
先ほども話しましたが、非常に範囲の広い仕事です。そのうえ、行政書士業務じゃない仕事でも利益を上げる可能性があります。
働き方も多様なため、全体像が非常に見えにくくなってます。
ただ、儲かっている人とそうでない人の差がどんどんついている2極化は行政書士の中でも進んでいるという印象は強く受けます。
収入については以前に触れてますので、興味のある方はご覧ください。
